臨床研修医を迎えました2021年
今年は9月15日から30日までの2週間、西脇市立西脇病院の2年目の臨床研修医 加藤ちはる先生を受け入れました。臨床研修プログラムの地域医療研修の一貫として、当院以外にも西脇市多可郡医師会の6施設、市立加西病院、加茂病院、加東市民病院の3病院が臨床研修医を受け入れています。各医療機関によって診療の特色が異なりますが、当院は循環器内科、呼吸器内科を標榜していることから、主にはご高齢の方の外来診療を経験していただくことになります。
研修医 加藤ちはる先生を迎えて
加藤先生は麻酔科を志望していると伺いました。麻酔科医の仕事とは一般の方にはなかなかイメージがつかないかと思いますが、簡単にいうと、安全で適切に手術が受けられるように術前、術中、術後に至るまで注意深く患者さんの管理を行う仕事です。人体の解剖知識は当然のこと、呼吸や循環動態の管理、薬物動態学、疼痛管理など、求められる知識は多岐にわたります。一方、臨床研修で求められるものは、将来専門とする分野にかかわらず、医療の果たすべき社会的役割を認識し、プライマリ・ケアの基本的な診療能力を習得することです。2週間という短い期間ではありますが、将来の医療を担う若い医者の臨床研修教育に携わることが出来ることについて非常に嬉しく思っています。
当院で行える医療は主に外来診療です。病院では気軽に行える検査も、開業医が出来ることは限られています。十分な問診を行い、限られた検査の範囲で鑑別診断を挙げ、最善と考えられる治療を行う…。日頃の手厚い医療が行える研修病院では出来ない外来診療を経験してもらいました。定期的に通院されている患者さんの診療を任せ、隣で見守っていましたが、丁寧な言葉遣いで親身になって診察をし、検査結果を易しい言葉で説明している姿は安心して見ていられました。また、採血業務をはじめ、容態が悪化した方の静脈路確保も安心して任せられました。また、病院での研修では経験できない訪問診療にも同行してもらいました。
その他に我々開業医は、ワクチン業務、学校健診、産業医活動、介護保険審査や地域医療検討会などの医療・介護・保健・福祉に関わる種々の施設や組織と連携する活動を行っていますが、2週間という期間では地域医療の特性や地域包括ケアの全てを理解してもらうことは出来ませんでした。せめて1ヶ月間くらいは必要ではないかという意見を持っていますが、研修を受ける立場からの議論も必要だと思います。短い期間であったとしても充実した地域医療研修になれば良いと考え、若い先生と過ごす2週間をこれからも楽しみにしています。
あまり指導らしい指導はできませんでしたが、当院の前に研修された村上クリニック 村上先生の御施設と併せ、少しでも地域医療とはどのようなものかを理解してもらえたなら、とても嬉しく思います。これからも様々な臨床経験を積み、研究や努力を重ね、お父様のように立派な麻酔科医を目指して下さいね!
地域研修を終えて
はやし内科クリニック 林先生およびスタッフの皆様方
この度は2週間という短い期間でしたが研修を受け入れていただきありがとうございました。
研修前から病院と開業医での役割の違い、についてはイメージをしていたつもりでしたが、初日にいただいた研修医習得事項を拝見したときに、「病院への紹介のタイミング」「病診連携」まで考えが及んでいないことに気が付きました。入院で受け持つ患者様は、状態が良くなれば「あとは開業医の先生に」とお任せしがちです。しかし逆にどんな状況になれば専門医を含め総合病院への紹介を検討するのか、そこまでをどのように治療していくか、一次予防や二次予防を 含めあまりきちんとイメージできていない自分がいました。2週間研修をする中で林先生が繰り返しおっしゃった病診連携の大切さについては患者様の訴えからも垣間見ることができました。今後も私は総合病院などで勤務する機会が多いと考えますが、病診連携について、開業医の先生がどのように考えられ紹介されたのか、ときちんと考えていこうと思いました。
手技に興味があるということもあり、エコーをはじめ手技も経験させていただきました。まだまだ学ぶことが多かったですが、貴重な体験ができたと思っております。また、患者様の外来を担当させていただいたときは限られた時間で外来をすることの難しさも痛感いたしました。
2週間、あっという間の研修でしたが大変多くの学びを得ることができました。この経験を活かし、今後の医師人生に活かしていきたいと存じます。この度は本当にありがとうございました。
懇意にしてくださった林先生をはじめ、スタッフの皆様方に御礼申し上げます。
西脇市立西脇病院 初期臨床研修医2年目
加藤 ちはる