臨床研修医を迎えました2020年
今年は9月15日から30日まで西脇市立西脇病院の臨床研修医を受け入れました。例年は6月なのですがコロナ禍の影響で、今年は9月に延期となりました。コロナは感染症予防の重要性やその難しさを再認識させました。我々は標準防護策を講じた診療を行い、患者さん側も手洗いやうがい、手指消毒を徹底されています。そのおかげで感染症疾患は減っている印象がありますが、今後も油断をせず、一人一人が今できることを確実に行っていく必要性を痛感しています。
研修医 楳木先生を迎えて
西脇病院臨床研修医2年目の楳木博久先生は、9月前半を加東市民病院で研修され、後半を当院が担当することになりました。将来は精神科医を目指したいとの明確な意志を持たれています。短い間ですが、開業医にとってはやる気のある若い先生と一緒に診療することが刺激となり、この受け入れ期間を毎年楽しみにしています。
臨床研修医2年目の時期は入院患者さんや当直時間帯の救急患者さんを主に担当するため、外来診療はほぼ未経験です。一方、我々開業医は外来患者さんのみを診ていますので、本研修では外来診療の一部を習得してもらえることを期待しています。例年通りしばらく私の診察を見学して頂き、途中交代しながら外来診療を経験してもらいました。
当初は若干の戸惑いもあったようですが、患者さんを診察室に呼び入れる前にカルテに記載されている情報や検査データをきちんと分析した上で診察に臨むと、上手くコミュニケーションが取れ、スムーズに診療を勧めることができていました。勤務先の病院では十分な検査を行ったり、場合によっては他の医師と相談することもできますが、当院では少ない情報で正確な診断、治療に導くようにし、必要に応じて専門医への紹介タイミングを逸さないようにすることが大切です。診療時間の制約もあり、多くの経験はして頂けなかったのですが、重要なポイントは掴むことができたのではないかと思います。
普段は診察しながら電子カルテを入力するのですが、この期間は入力してくれるので助かっています。
些細な情報も逃さないよう、
丁寧に聴診しています。
往診先での診察は初めてです。
また、研修期間に予定している往診は無かったのですが、ちょうど通院中の患者さんが体調不良との連絡が入り、二人で午前診察後に訪問しました。訪問診療は初めてとのことでしたので、患者さん宅での問診、診察、採血、点滴等の実際を見学して頂き、良い経験になったのではないかと思います。
ご協力いただきました患者さんに感謝いたします。
その他、臨床検査技師のエコーを見学し、採血や心電図などの検査を行い、緊急入院が必要な患者さんを救急車に同乗して搬送してもらいました。また、きはら心療内科クリニックの木原先生にもご協力いただき、1日半、精神科外来の実際を見学してもらいました。短い研修期間でしたが密度の濃い研修内容だったかと思います。
地域研修を終えて
9月15日から30日まで西脇病院地域研修として林内科クリニックにてお世話になりました。地域の開業医の先生方とは紹介状経由での交流程度しかなく、失礼があってはならないと最初は多くの不安を抱えて伺いました。研修初日から先生の外来見学に入りつつ、カルテの打ち込みの手伝いをさせていただきましたが、なかなか電子カルテの扱いに慣れず先生の外来を煩わせてしまうこともありましたが、先生からはその都度優しく教えていただきました。ほか採血等もさせていただき、西脇病院で培ったものが活かせる機会をいただけました。ほか、患者様の対応もさせていただき、綿密なご指導をいただいておりました。そうしているうちに当初抱いていた不安はいつの間にか感じることもなくなり、楽しく学ばせていただきました。
研修させていただく中で最も印象に残ったのは、林先生の患者様との接し方や患者様への指導の仕方でした。患者様に対して、決して感情的にもならずに、どんなに遅い時間に来院された方にも誠意をもって対応されておりました。まだまだ未熟な私ではこのように対応することなど到底できる気がせず、心の底から尊敬の念を抱きました。また、患者様の前ではしっかり自信もってお話しされており、自分がわからないことは素直にわからないとお伝えし、でも患者様への処置や処方に対しては自分の落ち度がないかをしっかり確認しておられて、決しておごらず謙虚な姿勢で仕事に取り組まれているのだなと、そういう姿勢が患者様にも伝わり多くの方が頼ってこられるのだなと感じました。
この研修期間は私にとってとても色濃くありがたいものでした。林先生、寺西検査技師をはじめとしたクリニックのスタッフの皆様、2週間という短い期間ではありますが大変お世話になりました。これからの貴院のますますのご清栄を心よりお祈り申し上げます。
西脇市立西脇病院 初期臨床研修医2年目
楳木 博久